リヨンは素敵な街でした

 フランスのリヨンに行ってきました。パリに次ぐ第二の商業都市です。この街で生まれたAntoine Saint-Exupéry(アントワーヌ・サン・テグジュペリ)に因んで、サン=テグジュペリ国際空港という名前の空港が空の玄関口です。『星の王子さま』が気に入っているので、まずはそこからわくわくしちゃいます。
 コロナ禍に海外旅行なんてと眉を顰める方もいらっしゃるかもしれませんが、一応、仕事の予定で行きました。International Congress of Law and Mental Healthという学会の第37回大会に出席してきました。ヨーロッパやアジア、アメリカなど世界各地から裁判官・弁護士や精神科医などが集まって、法と精神医療に関する制度や理論、実践の報告をする6日間でした。
 私は、THERAPEUTIC APPROACHES FOR CRIMINAL DEFENSE IN JAPAN(日本での刑事弁護における治療的アプローチ)と銘打ったセッションでThe Difficulty of Therapeutic Approach in the Defense for Theft Offender(窃盗事件における治療的アプローチの困難さ)という題目の報告をしました。私が担当した2つの窃盗事件を素材にして、被告人自身が持つ資産や資源次第で、提供を受けることができる弁護活動の質・量が変わってしまう不公平さについて問題提起をしました(豊富な資金力・組織力を背景に捜査を遂げ、訴追活動を行うことができる検察官とは対照的に、被告人の精神疾患・障害等につき診断を得るにも、更生・治療の場を確保するにも、弁護側に与えられた武器が乏しいのが実情です)。
 学会では、会場から積極的に質問や意見を投げかけ、議論に参加する裁判官の姿がそこここで見られました。中には、「ここから世界にTJムーブメントを起こそう!」などと呼びかけている方もいました(「TJ」というのは、「治療的司法」という応報よりも被告人の問題解決に焦点を当てた司法観のことです)。日本の裁判官は、新規性・独自性のある意見を活発に述べるよりも、一般的見解を気にしながら、控えめに意見を述べる方が多いので、地域による法律家の姿の違いに驚かされました。司法の品質の安定のためには、個性による凸凹を無くし、平均を追求することにも意味があるとは思いますが、それぞれの法律家が多様な色味を出しながら、闊達に議論を交わして、法の運用を創り出していくことの方が魅力的に感じます。
 私にとっては、10年ぶりの海外、初のヨーロッパ上陸でした。英語が通じない人たちでも、一生懸命伝えようとしてくれる親切さがありつつ、他人に干渉するような眼差しを向けない風土で、日本での(ある側面での)息苦しさ・窮屈さから解放されるような気持ちになりました。どこを切り取っても絵になるような景色の街の中を電動キックボードで行き来して、心が洗われました。
 月並みですが、旅に出ることでいろんな物事が相対化されて、良い経験ができますね。コロナの流行が過ぎ去って、また気軽に海外に出かけることができる世の中になってほしいなと切に祈っています。

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