8月と「ひとびとの哲学」

 暑いですね。皆様、体調を崩されていませんでしょうか。
8月は、戦争についてあらためて考える日が続きます。そしていまの時代は、憲法とは何なのか、基本的人権とは何なのか、そして幸せとは何なのか。時代的状況も含め考えなければいけない時代になっていると思います。

 さて、先月、鶴見俊輔さんが亡くなられました。今の時代的状況を鶴見さんがどのように論じるかをもう少し聞いてみたかった気がします。鶴見俊輔さんは「ひとびとの哲学」として、日常生活の中にある、「普通の人々」の中に見いだされる人間の本質に着目された方でした。
 「弁護士」という仕事と「鶴見俊輔」とには一見、つながりはなさそうです。しかし実は鶴見さんの「ひとびとの哲学」という言葉の中には、私たちが今やっている仕事と鶴見さんとの、大事な共通項が隠れているような気がしています。

 私たちは、多摩地域の生活に密着せんと日々を過ごしている弁護士です。私たちは日々の生活で「ひとびと」に、日々の生活に接し、そこに生まれる紛争に接し、またそこに生まれる「ひとびと」の表情、さまざまな感情に接しています。その集積の中にはやはり「哲学」が、人間の本質や人間にとって大事なものが見えるような気がするのです。鶴見さんが「ひとびとの哲学」という言葉で言いたかったのはこういうことかな、という風のようなものを感じる瞬間があったりします。
 大都会ではなくこの多摩地域で、しかも公設事務所で自分がこの仕事をする意味をよく考えますが、言葉を飾らない生活の中で、先に述べたような風を身体で感じやすいというところに、醍醐味があるのではないでしょうか。そして、私たち地域の弁護士は、法と社会のあり方、そして人間のあり方を考える上で、「ひとびと」から見えるその風を感じ、ときにそれを誰かに伝えていかなければいけないのでは、と思ったりもします。

 そんなちょっとわかりにくいようなややこしいような話をブツブツと考えたこの7~8月でした。
さて、夏バテしないように頑張ります。
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Author:多摩パブリック法律事務所
多摩パブリック法律事務所は、多摩地域の法的ニーズに積極的に応えるため、東京弁護士会の全面的バックアップにより設立された公設事務所です!

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