「風評被害」

 夏休み、宮城県の実家に帰省しました。

 放射能汚染に対する心配は、福島県・伊達市に隣接するわが故郷でも重大な問題です。
酪農を営んでる兄や甥たちにとっても。


 幸い、乳牛の餌は、ほとんどがアメリカからの輸入品と昨年貯蔵している乾燥草や発酵草なので、汚染は確認できないようですし、牛乳も大丈夫のようです。
しかし、今年の夏作る、乾燥草やデントコーンで作る発酵餌は、毎年と同じ作業を進めていますが、来年、牛に食べさせるときに、どのような状態になっているかは不明で、汚染していれば、餌にならないためほとんどを輸入品に頼らなければならなくなり、コストの面からも、大変な状態になりそうです。

 今年98歳になった父は相変わらず元気で、いろいろな野菜を、家族のために作っています。
暑さと適度の雨で、夏野菜は、豊作で、今年も車いっぱい詰め込んで帰ってきました。
 毎年、友人の家族へのお土産の分も積み込んできていました。

 でも今年は差し上げることに躊躇してしまいました。

 家族も、この地方の方々も、問題なく食べている野菜だし、出荷停止となっているわけでもないけれど、「あまり気分の良いものではないのかも」と心配しました。
 帰京して、友人達に事情を話し、今年は、お土産の野菜はないことをお話したら、
 
 「あなたから、風評被害を助長するつもりか!」
 
 と怒られてしまいました。

 「おじいちゃんの野菜はおいしいんだから。楽しみしているんだよ!」
 
 とも。
 
 涙がでるほど嬉しかったです。

 これと同じようなことが、いつもお土産に買ってきていた伊達市の桃でもありました。
我が家は、大好きな桃を思う存分食べれるのは、いつも帰省したときとなっています。
 いつものように、直売店に寄りました。そして、驚きました。
 
 あまりに安すぎるのです。

 放射能検査をし、その数値を記載し、安全であることの説明書がはってありました。
しかし、売れないのでしょう。昨年2,000円で買った一箱は500円でした。
申し訳ない気持ちで、予算分を頂いてきましたが、それはそれは、たくさんの桃でした。
 いつも、桃も友人達への土産にしていましたが、野菜と同じように躊躇してしまいました。

 この桃も、友人たちは、喜んで受け取ってくれました。

 私は「風評被害」に怒っていたのに、私自身が「差し上げるもの」「お土産」となると、ちまたとおなじように「風評」を気にして、買うことを控えてしまいました。

 私自身が「風評被害」を作っていたのだと恥ずかしくなりました。

 父の作った野菜は美味しいんだ。福島の桃は甘くみずみずしく美味しいんだ。という自信をもって友人たちに差し上げればよかったのだと、反省しました。
 そして、改めて一生懸命丹誠込めて作った方々の気持ちに応え、美味しく頂き、みんなにも、食べていただくことで、被災者の方々への応援の心を伝えたいものと思いました。 
                      
                                      
             
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