問題解決型弁護の実践 

 このところ、「治療的司法」という考え方が広まりつつあります(治療的司法研究会編著『治療的司法の実践』(第一法規、2018)を参照)。これは「英語のtherapeutic justiceの訳語ですが、刑事司法制度について犯罪を犯した人に対して『刑罰を与えるプロセス』と見るのではなく、犯罪を犯した人が抱える『問題の解決を導き、結果的に再犯防止のプロセス』と捉えようという考え方……を指します」(成城大学治療的司法研究センターウェブページhttps://www.seijo.ac.jp/research/retj/)。
 私は、刑事弁護を通して罪を犯した方と関わる機会が比較的多い弁護士です。その方々は、決してモンスターではありません。あくまでも「普通」の人たちです。ただ、罪を犯した背景には、貧困、高齢、障害等に起因する生きづらさが隠れていることが多いです。これらの生きづらさを緩和するような弁護をしたいという想いの下に仕事をしています。たとえば、認知症に罹患した独居の高齢者の方が万引きを繰り返していた事件では、認知症の診断を得てから、介護施設を確保することで服役を回避しました(拙著「包摂か排除か―福祉的支援を確保して懲役刑を回避した事案」季刊刑事弁護88号21頁)。また、万引きを繰り返してしまう病気(クレプトマニア)に罹っている方の事件では、同じ病に苦しむ方々がいる回復施設につなげて再発防止を図るとともに、ソーシャルワーカーの助力を得てその方のストレスの原因となっている家族関係の改善に取り組んでいます。
 もし地域社会に犯罪に亘るような問題を起こした方がいても、何が彼にそうさせたのか一緒に考えていただけると嬉しいです。彼らはいつか社会に戻ってくる私たちの「隣人」です。

「一隅を照らす」


 榛野(はるの)なな恵さんという方が描いた“Papa told me”(集英社)という漫画があります。
 的場信吉・知世(ちせ)親子の父子家庭生活とふたりを取り巻く人物たちの日常とが綴られています。
 世の中の常識やあたりまえに息苦しさを感じている人たちへの細やかで温かい眼差しがそこここに感じられる作品です。
 中学生の頃に初めて出逢ってから、時々読み返しています。
 何度読んでも、ほっとしたり、はっとさせられたり、あっと思ったり、魅力が尽きません。
 知世ちゃんのようにみんなが気づいていないほんの片隅に目を遣れる人になりたいなあと思います。

 集英社ウェブページ

 http://cocohana.shueisha.co.jp/story/haruno/papatoldme/index.html
 

遠い煌めき

ひさしぶりに書くブログ、
何を書こうかなと他の記事を見返してみると、
眩い記事が続いていました。
羨ましくなって、
必死でカメラロールを遡ってみたら、
いつのかわからないキラキラした写真が出てきたのでそれを載せます。



もう既にイルミネーションの季節ですね!
今年は自分の要領の悪さが祟って、
お気に入りのイルミネーションスポットなど見に行く余裕もないですが、
せめてクリスマスが近くなったら、
時間を捻りだして、
クリスマスツリーを見るのが今から楽しみです☆彡

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みなさんにも素敵な年末が訪れますように。

障害と健常との曖昧な境界

 ちょっと前,しょうぶ学園に行ってきました。

 しょうぶ学園は,鹿児島県にある障害者支援センターです(「障害」という表記に違和を感じる方もいらっしゃるでしょう。「がい」,「碍」,「礙」など様々な表記の工夫がありますが,今回は敢えて「害」の字で統一しました。)。障害者の方々に対し,相談支援,入所支援,ホームヘルパー,グループホーム等のサービスを提供しています。このように説明すると,どこにでもある障害者福祉施設じゃないか,なんでわざわざ鹿児島まで?,視察に託けて旅行に行っただけではないかと訝られるかもしれません。

 しょうぶ学園は,その辺りにある施設とは違います。訪ねて行くと,田舎町に突如,「SHOBE STYLE」と書かれた門が現れます。門と言っても,遮るものはなく,出入り自由です。まるで美術館の入口です。到着しても,「え?ここなの?」という感覚でした。施設内の道端には,本格的な蕎麦屋,おいしそうなパン屋,おしゃれなイタリアンが並んでいます。そして,開けた中庭を中心に,ジブリを思わせるようなカラフルな建物が周りを取り囲んでいます。

181203①

 しょうぶ学園では,そこに集う障害者が「規格」とは無縁に,各々がやりたいことをやりたいようにやって,時を過ごしています。のこぎりで丸太を傷つけることが好きな人は,一日中ずーっと丸太をギコギコしています。周りを自分の好きな模様で染め上げたい人は,ひたすら壁・床・天井をペンキで塗り尽くしています。刺繍糸の玉々を作りたい人は,ひたすらチクチクチクチク縫い物(?)をしています。園内には,そうした活動の場となる工房がそこかしこにあります。

 しょうぶ学園は,障害者の自由な活動の場を提供しているだけに留まりません。障害者の方々が作り出した作品の「断片」を職員の一手間でつなぎ合わせ,アートとして完成させ,販売しています(のこぎりで傷つけた丸太をお盆に加工したり,刺繍の玉を縫い付けたTシャツを作ったり。)。先ほど紹介した飲食店でも,障害者と職員とが共同して,互いに技術を教え合いながら,クオリティが高い料理を提供しています(手打ち蕎麦,焼きたてパン,ケーキ,生パスタなど,どれをとってもおいしいかったです。)。それぞれがやりたいこととできることとを組み合わせて,一緒に価値を生み出しています。障害という属性に頼ることなく(本当に頼っていないかどうかには留保が必要ですが……),市場価値のある作品を作り上げ,流通させ,販売活動で得た資金を再び障害者支援に回しています。

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 視察した日には,施設長の福森伸(ふくもりしん)さんとお話しする機会をいただきました。なんとたっぷり約1時間半。福森さんは,概ね,次のようなことをおっしゃいました。何のためにそれをやるのかという意味を考えずにはいられない,他人の目を気にして型どおりにやらなければ気が済まない健常者と,目的や意味を考えずに自分の好きなことに好きな道筋で取り組んでいる障害者と,本当はどちらが「健常」なのか,どちらが幸せなのか。

 施設内をユートピアとして唯々愛でるだけでは,障害者感動ポルノの一種でしかありません。健常者中心モデルの社会において,目的も意味もなく,好きなことをして好きなように生きようというスローガンだけでは生活していくことができません。それでも,障害者支援の現場で,ひとりひとりの生きやすさと市場経済社会との折り合いを付けようとしている福森さんやその他職員の方々に対し,日々事件と向き合う臨床家の一人として,私は,共感を覚えました。理想と現実との前向きな妥協の形を見ました。

 SHOBU STYLEを直に体感してみると,思考が動き出します。鹿児島観光のルートの一部に組み込んで,ぜひ食事にでも訪れてみてください(それぐらいの気軽さがちょうどいい施設でもあります。)。

 鹿児島に行かずして,SHOBE STYLEを垣間見たい人には,茂木綾子・ヴェルナー・ペンツェル監督「幸せは日々の中に」(silent voice,2016)というドキュメンタリー映画がオススメです!

 ありきたりな問いですが,幸せって何なのか考えてみては。

社会福祉法人太陽会
障害者支援センターSHOBE STYLE
鹿児島県鹿児島市吉野町5066番地

近いところで,刺繍のイベントもあるようですよ。
nui project
平成30年12月12日(水)~19日(水)
DEE'S HALL(東京都港区南青山3-14-11)
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Author:多摩パブリック法律事務所
多摩パブリック法律事務所は、多摩地域の法的ニーズに積極的に応えるため、東京弁護士会の全面的バックアップにより設立された公設事務所です!

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