再婚禁止期間が廃止されます

 最近、法改正が様々な分野で行われていますが、民法の家族法分野も例外ではありません。今回は、令和6年4月1日から施行される、再婚禁止期間の廃止及び嫡出推定規定の見直しについてお伝えします。

 再婚禁止期間とは、女性が元配偶者と離婚した日から再婚するまでにあけなければならないとされる期間のことです。現行民法では、「女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。」と規定されています(民法733条1項)。

 なぜこのような規定が設けられたかは、嫡出推定という規定が関係しています。現行民法では、①婚姻成立から200日を経過した後又は②婚姻の解消もしくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎(妊娠)したものと推定すると規定されています(民法772条2項)。これによれば、例えば女性が離婚後10日で再婚し、再婚後230日で出産した場合、出産時点で再婚から200日を経過しているので、上記①より再婚後の夫の子と推定されます。他方でこの場合、前婚の解消後240日しか経過していないので、上記②にも該当し、元夫との間の子であるとも推定されてしまいます。この推定の重複を避けるために、再婚禁止の規定が定められていました。

 しかし、再婚禁止期間中に法律上は再婚ができなくても、新しい事実上のパートナーとの間に子どもが生まれることはあります。前婚の解消から300日以内に出生したとすると、その子どもは元夫の子と推定されます。その結果、元夫の子どもとして戸籍に載ってしまうことを避けるために、戸籍の届出がなされないケースが出てきて(いわゆる「無戸籍児問題」)、問題視されていました。
この問題を受けて、嫡出推定については、「母の婚姻解消等の日から300日以内であっても、母の再婚後に生まれた子は、再婚後の夫の子と推定する。」という内容に改正されることになりました。そして、この改正により、再婚禁止期間を定める意味がなくなったので、再婚禁止期間の規定は廃止されることになりました。

 上記改正以外にも、「共同親権」(離婚後も夫婦双方が親権を持つこと)の導入が議論される等、家族法分野は今後も動きがありそうです。

相続登記の申請義務化が始まります

 令和6年4月1日から民法が改正(施行)され、相続登記の申請の義務化が始まります。これは、不動産を相続によって取得した相続人に対し、自己のために相続開始があったこと及び当該不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請を義務づけるものです。正当な理由のない申請漏れには過料の罰則規定も設けられています。
 改正の理由は、従前、相続登記がされないことにより所有者不明の不動産が発生し、その結果不動産の管理をする人がいなくなり、荒れた状態のまま不動産が放置されること等が問題になったためです。また、相続が複数回起こった場合等、不動産の所有者の探索に多大な時間と労力がかかることが多いのも、不動産が放置されたままになる原因だと指摘されていました。
 相続登記の申請の義務化は、こうした弊害をなくすために規定されたものです。なお、今回の改正では、法改正「前」に相続した不動産についても適用されるので、注意が必要です。
 もっとも、遺産分割協議が長引いている場合等は、すぐに3年が経過してしまいます。そのような場合に備え、改正により「相続人申告登記」という制度が新設されました。これは、①登記簿上の所有者に相続が開始されたこと、及び、②自らが相続人であることを法務局に申し出れば、相続登記申請義務を果たしたこととみなす制度です。この手続をするにあたり、他の相続人の協力は不要です。
 これ以外にも、相続登記の義務化への負担を軽減するべく、相続登記の登録免許税の負担軽減策も設けられました。また、改正により、「所有不動産記録証明制度」という制度が新設されました(令和8年4月までに施行予定)。これは、ご自身や被相続人が名義人となっている不動産の一覧を法務局が証明書として発行してくれる制度です。相続人の立場では、被相続人がそもそもどの不動産を所有していたかわからない場合が少なくないため、ご自身が相続した不動産の全容を把握しやすくするために設けられたものです。
 以上みてきたとおり、相続登記関係は法改正が多いところですので、ご注意下さい。

離婚の絵本

 先日、ご依頼者様から、お子様に離婚を伝える際にお子様と一緒に読んだ絵本を教えて頂きました。離婚の絵本については、少し前にタレントのシェリーさんが娘さんに読み聞かせたということで話題にもなりました。
 調べてみると現在出版されている離婚の絵本は、海外の絵本を翻訳したものが多いことに気づきます。アメリカの多くの州では、離婚の前に、親の離婚を経験する子どもの気持ちを学ぶための心理教育プログラムを受けないと離婚ができないという仕組みを導入しているそうです。
 日本では、お子様への離婚の説明(説明をするかしないかも含めて)はまだご両親任せとされている風潮があると感じます。絵本は年齢別に複数出版されていますので、絵本等を読みながらお子様と一緒に離婚について考えるのも良いかもしれません。

養育費の支払確保

 近頃、養育費の支払確保に向けた動きが加速しています。最近では法務大臣が、離婚届の書式を変更して養育費に関する取り決めを記載する欄を作ると発表したのも記憶に新しいところです。令和元年には民事執行法が改正され、養育費の回収がよりしやすくなりました。今回はこの法改正で、どのような点で養育費の回収がしやすくなったのか見ていきたいと思います。
 第1に、「財産開示手続」の申立てができる範囲が広がりました。財産開示手続とは、債務者(養育費の支払義務を負っている人)を裁判所に呼び出して、債務者の預貯金・不動産等の財産や、勤務先等の情報を開示させる手続のことです。今までは、例えば「公正証書」で養育費の支払いを取り決めた場合は、財産開示制度を利用できませんでした。この場合は養育費が不払いになったとしても、養育費を請求する側が債務者の預貯金口座、不動産、勤務先等の詳細を把握していないと、強制的に回収することが困難な状態でした。この状態を打開するべく今回の改正がなされました。
 加えて、改正により、債務者が正当な理由なく裁判所に出頭しなかった場合の罰則も強化されたので、改正前よりも財産開示の実効性が上がったといえます。
 第2に、債務者の預貯金、不動産、給与等の情報を、債務者以外の第三者 (例えば銀行、市町村、日本年金機構等)から取得することが可能になりました。情報取得の基本的な要件は、財産開示手続を先に行ったが功を奏しなかったことです。もっとも、預貯金の情報開示に関しては、先に財産開示を経なくても申し立てることが可能とされています。
 養育費の支払確保に関しては、今後も法改正や運用変更がありそうです。

飢えています

私は最近、旅行に飢えています。

もともと旅行は好きで、休みに1人旅などもしていました。
これまでの中で印象に残っているのは、静岡県寸又峡にある「夢のつり橋」に行ったことです。途中、心配になるぐらい暗くて長いトンネルをひたすら歩き、急な階段を降りてつり橋まで進んでいくのですが、つり橋の下に広がる湖のブルーは、これまで見たことのない素晴らしい景色でした。

そんな旅行好きの私ですが、ここ1、2年程忙しさにかまけてほとんど旅行ができていません。
これはよくない。
そこで、今年こそ、旅行に行くぞと決めました。せっかくなら慌ただしく旅行をするのではなく、心と日程にゆとりをもって旅行に行きたいものです。あえて10連休は外して、落ち着いた頃に行こうと現在計画を練っています。

皆様のなかでお勧めの場所がありましたら、ぜひ私までご一報ください。
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Author:多摩パブリック法律事務所
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