退所のご挨拶

 多摩パブの弁護士は任期制のため、
どの弁護士にも遅かれ早かれ「卒業」の時が訪れます。
かくいう私も、3月末日をもって、任期満了に伴い多摩パブを「卒業」致しました。
在任中に皆様からご指導、ご鞭撻を賜りましたことは、
私にとってとても貴重な、かけがえのない財産となりました。
改めて御礼申し上げます。

 もっとも、退所とともに弁護士までをも「卒業」するわけではないので、
多摩パブを退所した弁護士は、それぞれ新天地へと旅立つことになります。
現在までに多摩パブを卒業した弁護士は、既存の法律事務所に移籍するか、
元々在籍していた法律事務所に復帰するかのいずれかでした。
ところが、私は、無謀にも(?)、新規に法律事務所を立ち上げることにしました。
せっかくの機会(?)なので、今回は、法律事務所を立ち上げる悪戦苦闘ぶりについて、
少しお話させて頂こうと思います。

 まずやらなければいけないのは、何といっても、物件探しです。
広さや家賃だけでなく、お越し頂くのに最寄駅から遠すぎないだろうか、
周辺が賑やかすぎないだろうか(私自身は、思い悩んだ状態のときに
楽しげな人々が行き来するエリアには足を踏み入れたくないので…)、
バリアフリーになっているか…など、悩みはつきません。
同じビル(フロア)にはどんなテナントが入っているのか、というのも重要な要素です
(実際に、この点で断念した物件がけっこうあります)。
さらには、せっかく良さそうな物件を見つけたのに、内装が事務所には相応しくない
(例えば、ユニットバス)という悩みもありました(この点で断念した物件もけっこうあります)。

 そうこうしてようやく物件が決まると、次は内装です。
何もない状態(スケルトン)ですと、相談・打合せスペース、弁護士の執務スペース、
事務局スペースなど、諸々の内装工事が必要になります…が、今回は、
既に相談・打合せスペースに適した仕切りがある物件をみつけることができたので、
内装工事の手間は大幅に省くことができました。

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 こうして事務所の大枠が出来上がると、次は机、椅子や書棚などの備品や、パソコン、電話機やコピー機といったOA機器を取り揃えていくことになります。
 また、並行して、ホームページや事務所のロゴの作成なども進めていくことになります。
この辺りは、多摩パブの弁護士や事務局が知り合いを紹介してくれたり、自ら協力を名乗り出てくれたりと、本当に感謝のことばもないくらい、いろいろな方にお力添え頂きました。

 そして、何よりも欠かせないのが、事務所のネーミングです。
いろいろと思案した挙げ句、新事務所は「明日の風法律事務所」という名称にしました。
これは、山崎まさよしさんの「明日の風」という楽曲に由来しています。
その一節にある
「明日に向かう風が街を通り過ぎて少しずつ変わってけばいい 
 いつの日かこの痛みが眠りにつければいい」
という歌詞に、事務所としての理念、弁護士としての思いが重なったのです。
弁護士は決して万能ではないので(私のような若輩であればなおさら…)、
皆さまの悩みや困り事をたちどころに解決できるとは限りません。
しかし、親身に寄り添い、ともに歩むことによって、少しずつ状況が好転し、ついには「そんなこともあった」と振り返れる日が来る…そんな状況を切に願い、この名称にしたのです。

 …と、なんとなくカッコイイ感じになってしまいましたが、
実際のところは、どうしようもなくバタバタしていました(未だにバタバタしています…)し、「これからどうなっていくのだろうか…」という不安もあります。
それでも、何もないところに法律事務所が出来上がっていくのはワクワクしましたし、先が見えないからこその楽しみもあります。

 いずれにしても、「多摩パブ魂」だけは忘れることなく、新天地で頑張りたいと思います!
今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いします!
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教壇に立って

早いもので、入所から6か月ほど経ちました。「ブログデビュー」がすっかり遅くなってしまいましたが、改めてよろしくお願いします。

さて、弁護士としてまだまだ学ぶべきことの多い私ですが、弁護士業務の傍らで、ロースクールや大学で教鞭もとらせてもらっています。現在受け持っているのは、ロースクールの上級生を対象にした刑事模擬裁判と、大学1年生のゼミです。教壇

刑事模擬裁判のほうは、東京弁護士会の法曹養成センターというところが主宰しており、基本的にはそこに所属している複数の弁護士が講師となります(ちなみに、その講師陣には、当事務所の上條弁護士や、当事務所OBの松原弁護士も入っていますし、民事模擬裁判の講師陣には全弁護士が入っています)。また、ロースクールの上級生ともなれば、ある程度法的知識もありますし、翌年に司法試験を控えているので、特に躊躇することもなく、むしろ「愛の鞭」とばかりに厳しい指導をすることになります。

他方、大学1年生のゼミのほうは、おそれ多くも1人で教壇に立っていますし、前期のゼミともなれば初回は4月初め、つい先月まで高校生だった学生が相手になります。ゼミを履修する理由は「将来法曹になりたい」という人から、「なんとなく…」という人までさまざまですし、法的な知識はまだ「まっさら」なので、張り切って(?)法律用語を多用してみたところで、気づいたときにはみんなスヤスヤと夢の中…ということになってしまいます。
私自身、学生の頃にちゃんと授業に出た記憶はなく(!!)、しかもその原因は面白くない講義をする先生の責任だとさえ思っていました。そんなこともあって、立場が変わった今となっては、もっともらしい内容を保つことよりも、ましてや厳しい指導をするよりも、いかに学生を寝させないか、いかに興味を引き付けるかに重点を置いています。

そんな中で、学生の反応が抜群に良いのが、刑事模擬裁判なのです。私自身としては、どうせやるなら「本物」に忠実でありたいとの思いと、いくら反応が良いと言っても相手は大学1年生なのであまりマニアックになってもいけないとの思いが交錯します。でも、そんな悩みは、学生たちの鋭い質問が打ち消してくれます。今年は、痴漢の否認事件を題材にしたため、状況をイメージしやすかったというのもあるのかもしれませんが、大学1年生でそこまでの発想ができるとは…と、その法的センスが羨ましくなってしまうほどでした。

先日は、ロースクール修了生を相手に、より実務的な講義をさせてもらいました(写真はその講義の休憩時間に撮ったものです)が、相手が誰であれ、人に教えるという過程は自分自身にとっても大変勉強になるので、これからも携わっていければ良いなと思います。
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多摩パブリック法律事務所

Author:多摩パブリック法律事務所
多摩パブリック法律事務所は、多摩地域の法的ニーズに積極的に応えるため、東京弁護士会の全面的バックアップにより設立された公設事務所です!

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