任意財産管理契約、任意身上監護契約

 高齢化が進む中で、成年後見制度、任意後見契約、遺言、死後事務委任契約への関心が高まっていますが、意外と知られていないのが①任意財産管理契約と②任意身上監護契約です。
 ①任意財産管理契約は、高齢等の理由により身体的機能が低下して自ら財産管理を十分に行うことができなくなって第三者による支援が必要な状況となっているものの、判断能力の低下はないために成年後見制度や任意後見契約の利用はできない方が、弁護士と財産管理に関する委任契約を締結して、弁護士がご本人のいわば手足となって、ご本人の意思や要望に沿って財産管理を行うものです。具体的には、自宅で独居生活をしている方が、足腰が弱くなってしまってご自身で銀行まで行くのが困難である場合に、弁護士が代わりに銀行に行って預貯金を引き出してご本人にお渡しをしたり、ご本人に代わって振込手続を行ったりします。その他にも、得られる収入をきちんと確保したり、支払うべき代金や料金を確実に支払うなど、全体的な収支の管理を行うこともあります。財産管理として何をどこまで弁護士が代わりに行うかは、ご本人と相談をして決めた上で、契約書の中で具体的に定めます。
 ②任意身上監護契約は、上記のような状況の方が、身上監護(ご本人の生活・健康・療養等に関する契約や申請行為等の法律行為を行うこと)に関して、弁護士と委任契約を締結するものです。具体的には、定期的な訪問でいわゆる見守りを行った上で、介護保険サービスや有償サービスの利用をご本人とともに検討したり、入院や入所が必要となった場合の手続を代わりに行ったりします。任意財産管理契約と同様に、身上監護契約の具体的内容は、ご本人と弁護士で相談の上で決めます。
 以上の①任意財産管理契約と②任意身上監護契約は、セットで契約をすることももちろん可能です。
 親族の方がいらっしゃったり、社会福祉協議会や地域包括支援センターやケアマネージャー等の支援者がいることで、生活上の不都合がない方も多くいらっしゃいますが、自宅で独居生活をしている方で、身寄りがな く、福祉的な制度では対応できない課題(具体的には、ある程度まとまった金額の金銭管理や、契約や申請手続の代理など)を抱えている方には、解決策の1つとなり得る仕組みです。①任意財産管理契約や②任意身上監護契約が必要な方がいらっしゃいましたら、ぜひ多摩パブリック法律事務所にご相談下さい。

秋の京都を訪れて

 先日、義父の傘寿祝いで、京都を訪れて来ました。
 一度は紅葉の季節に京都を訪れてみたいと思っていましたので、念願が叶った形です。
 訪れたのは、千本鳥居で有名な「伏見稲荷大社」と、通天橋が絶景スポットと名高い「東福寺」。
 あいにくの雨天でしたが、赤・橙・黄色に染まった木々がとても美しかったです。
 タクシーの運転手さんの話では、緊急事態宣言が解除されて観光客が戻って来たものの、それでもコロナ以前と比べると半分程度の混み具合とのことでして、人波に揉まれることもなくゆっくりと楽しむことができました。
 雨が降りしきる中で、80歳のじぃじと手を繋いで1万歩以上を歩き通した6歳の娘の健気な姿も、忘れられない思い出となりました。

「伏見稲荷大社」

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「東福寺」

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自動車関連のトピック

 池袋で90歳のドライバーが運転する自動車が暴走して母子2名(当時31歳、3歳)を死亡させて9名に重軽傷を負わせたいわゆる「池袋暴走事故」で、東京地方裁判所は、2021年9月2日に、過失運転致死傷罪で禁固5年の実刑判決を言い渡し、検察側も弁護側も14日間の控訴期限内に控訴をしなかったため、同判決が確定しました。高齢者ドライバーのアクセルとブレーキの踏み間違い等による重大事故は後を絶ちませんが、運転免許証の自主返納制度は、「返納したくても車がなくなったら生活ができなくなる。」との声も多く、なかなか進んでいないのが現状です。誤発進防止機能や衝突被害軽減ブレーキ等の運転支援システムの普及が進んだり、さらには各自動車メーカーが鎬を削って開発競争を行っている自動運転システムが実用化されることで、悲惨な交通事故がゼロになる日を願うばかりです。
 自動車に関するトピックとしては、いわゆる「あおり運転」の罰則化も挙げられます。具体的には、道路交通法の一部改正により、令和2年6月30日以降、「他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為(注:通行区分違反、急ブレーキ、車間距離保持違反、進路変更禁止違反、追い越し禁止違反、最低速度違反、停止及び駐車禁止違反など)であって、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者」は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることとなりました(道路交通法117条の2の2第11号)。また、「次条第十一号の罪(注:上記の妨害運転の罪)を犯し、よって高速自動車国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者」は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられることになりました(道路交通法117条の2第6号)。このような罰則化とドライブレコーダーの急速な普及が相俟って、いわゆる「あおり運転」が根絶されることを期待します。

新民事信託(家族信託) NO.2      


 前回に引き続き、民事信託についてご紹介します。今回は民事信託のメリットとデメリットです。
 民事信託(家族信託)の最大のメリットは、とにかく自由度が高いという点です。成年後見制度や任意後見制度では実現できない投資・大規模修繕・建て替え・買い換え等も信託行為の中で定めておけば可能ですし、家庭裁判所への定期報告・監督人による監督・法定後見上の規制もありませんし、本人(委託者)の利益だけでなく家族(受益者)の利益のためにも利用可能です。また、二次相続等にも対応可能で、財産の長期的管理機能があるというメリットもありまして、具体的には、「後継ぎ遺贈型受益者連続型信託」(=受益者が死亡した場合には別の者を受益者とする旨を信託行為で定めておくと、信託契約から30年が経過した以降に受益者となった者が死亡するまで信託契約の効力が存続する)によって、自己の財産の数世代先までの管理を決めておくことが可能です。その他、倒産隔離機能といって、信託行為によって信託財産とすることで、委託者や受託者が自己破産をする場合にも影響を受けなかったり、委託者や受託者の財産として差押えを受けることもなくなるというメリットもあります。
 他方で、民事信託(家族信託)も良いことばかりではありません。デメリット(マイナス面)としては、①家族等の中に適任の受託者が必要であり、適任者がいない場合には事実上利用することが困難(なお、弁護士や司法書士等の専門家は、営利性との関係で、基本的には受託者にはなれません。)、②自由度が高いが故に自分に適した信託のスキーム(仕組み)の構築が難しい(専門家への相談が必須)、➂租税関係で思わぬ落とし穴がある場合がある(税理士への相談が必須)、④身上監護への対応は無い(財産関係に特化した制度)、⑤自己の財産の全てを信託財産にすることは現実的には難しいので、相続人間の遺産分割を避けるためには、結局、遺言書を作成する必要がある、⑥20年・30年・それ以上と、長期間にわたって信託財産の管理や処分に制限をかける結果、委託者の狙いとは違った形で委託者の死後に親族の間で争いが生じるリスクがある等が指摘されています。
 様々な制度のうちどの制度が最良の方法かは人によって区々でして、各制度のメリットとデメリット(マイナス面)を理解された上で適切に組み合わせて利用する必要があります。成年後見制度、任意後見制度、民事信託(家族信託)の利用を考えられる際には、多摩パブリック法律事務所をはじめとする専門家にぜひ相談下さい。

新民事信託(家族信託) NO.1

 2025年問題(戦後すぐの第一次ベビーブーム(1947年~1949年)の時に生まれたいわゆる「団塊の世代」が後期高齢者(75歳)の年齢に達して医療や介護などの社会保障費の急増が懸念される問題)が現実に迫って来る中で、成年後見制度や任意後見制度の利用促進の取り組みが各地で行われていますが、成年後見制度や任意後見制度については、マイナス面や利用しにくさが指摘されることもよくあります。
 具体的には、裁判所へ定期報告が負担として大きい、成年後見人等に誰がなるのかが不確実であり申立人の希望が通らないおそれがある、弁護士等が成年後見人や監督人に選任された場合の報酬の負担が一生続く、成年後見の場合は全ての財産が成年後見人の財産管理の下に置かれてしまう、財産の積極的な運用や投資ができない、家族や親族の利益を図ることができない等です。そのような成年後見制度や任意後見制度のマイナス面や利用しにくさを解消しうる法的制度として最近注目が集まっているのが「民事信託(家族信託)」でして、今回は「民事信託(家族信託)」の基本的な仕組み等をご紹介したいと思います。

 信託制度とは、信託法の定めに従って、委託者が受託者に財産を信託し、受託者において受益者のために財産の管理や処分等を行う制度です。従前、信託制度を利用できるのは主に信託銀行や信託会社といった信託業者だけでしたが、信託法の改正(平成19年9月30日施行)によって営利を伴わない信託であれば誰でも利用できるようになりました。この営利を伴わない信託を「民事信託」と言いまして、家族間で信託が行われることが多いために「家族信託」と呼ばれることもあります(なお、「民事信託」や「家族信託」といった用語が信託法には定められている訳ではなく通称です。)。

 民事信託(家族信託)の基本的な仕組みですが、当事者(登場人物)は、基本的には、「委託者(自己の財産を信託に拠出する人)」「受託者(信託された財産の管理や処分をする人)」「受益者(信託によって利益を受ける人)」の3者になります。ただ、「委託者」が「受託者」や「受益者」を兼ねるパターンもあります(登場人物としては2名しかいません。)。

 信託は、委託者(本人)が判断能力を有している間に、「信託契約(委託者と受託者が信託契約を締結する)」「遺言信託(委託者が遺言で信託をする)」「自己信託(委託者が自分を受託者として公正証書で信託をする)」のいずれかの方法で信託を行います。信託の効果が生じると、信託された財産の所有権は委託者から受託者に移転し、受託者は信託の趣旨や目的に従って信託財産の管理や処分を行って、受益者に利益が帰属することになります。信託行為によって、信託財産は委託者の財産ではなくなりますが、受託者の固有財産になる訳でもなく、受益者の財産になる訳でもなくて(受益者は信託財産から生じる利益を受けるだけです。)、信託法に基づいて信託の趣旨に従った制限を受けた特殊な財産になります。

 受託者には、信託事務遂行義務、善管注意義務、忠実・公平義務、分別管理義務といった様々な義務が課されます。なお、信託契約等で受託者に対して一定の報酬を与える旨を定めることは可能でして、報酬を定めたとしてもは営利性(不特定多数の人から反復継続して業として行うこと)があることにはなりません。

 受託者が死亡する等によって信託が終了する場合には、信託財産(残余財産)は信託契約等によって定められている「残余財産受益者」や「残余財産帰属者」に帰属することになり、受託者の相続財産としては扱われません。

 長くなりましたので、今回はここまでとさせていただき、次回は民事信託のメリットとデメリットをお伝えします。
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多摩パブリック法律事務所は、多摩地域の法的ニーズに積極的に応えるため、東京弁護士会の全面的バックアップにより設立された公設事務所です!

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