今年の言葉

私は昔から好きな言葉や文章、詩などがいくつかあります。
とはいえ、いつも意識しているわけではないので、
毎年その中から、今年はこれでいこう!という言葉を掲げることにしています。

今年はこれに決定しました。
『智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。』

夏目漱石の草枕より。

解釈はいろいろあるようですが、
しなやかに強く豊かな心でこの1年過ごせるといいな、と思います。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

ご挨拶

  明けましておめでとうございます。

  多摩パブは、昨年3月、設立から満10年を迎えました。7月には、「多摩地域におけるリーガルサービスの現状と課題~地域連携の現場から~」をテーマにした10周年記念シンポジウムを開催し、地域の自治体・社会福祉協議会の方々から、忌憚のないご意見とともに温かい励ましのお言葉をいただき、改めて、多摩パブが地域に育てられてきたことを実感することができました。

  弁護士会のバックアップを受けて設立された東京の6つの都市型公設事務所の中で、多摩パブは最も地域に密着した法律事務所です。設立以来、多摩パブの弁護士と事務局スタッフは、スタート時に掲げた①多摩地域の刑事弁護の拡充強化、②多摩地域方々が利用しやすい司法サービスの実現、③多摩地域に定着する弁護士の養成、の3つの活動を実践してきました。中でも一番力を入れてきたのは、地域に密着し、司法サービスが届きにくい高齢者や障がい者の方々に必要な司法の援助を実現し、貧困、DV被害など、社会的弱者に生起する問題と取り組むことでした。この10年間で、多摩パブは「地域のセーフティネット」になることができたと自負しています。この先、その役割を、一層充実させていきます。

  昨年、こうした活動をともに担ってきた弁護士が2人、多摩パブを「卒業」しました。3月末には笠井香奈弁護士(新64期)、12月末には栗原亮介弁護士(新65期)が退所して、いずれも多摩地域の法律事務所に移籍し多摩への変わらぬ想いを込めて活動しています。

  他方、昨年2月に芝﨑勇介(66期)、6月に中嶋靖史(47期)と八木隆(新65期)、7月には竹内沙織(66期)、12月に加地裕武(71期)と、5人の弁護士が入所し多摩パブの地域での活動にともに取り組んでいます。

  多摩パブは11年目に踏み出しました。皆様方には、地域とともにある多摩パブへの変わらぬご指導とご支援を、どうぞよろしくお願い申し上げます。

わかってはいるけど…

 娘を保育園に預けて仕事復帰する際、保育士の友人に言われたことがあります。 
 「朝、時間がなくてイライラすることもあると思うけど「早くして!」という言葉は言ってはいけない。早くして、と子どもに言うのではなくその分自分が早起きするんだよ」と。
 そのときはそうだよねー、頑張ろう!と思っていたのですが、2歳になった娘は自我が芽生え、毎朝、「着替えはしない、おむつはかえない、この靴では嫌」等々なかなか準備がスムーズにいかず…。
 全力でいやだー、と言ってくるので駄目だとわかってはいるもののついつい「早く準備してー!」と叫ぶ毎日です。

障害と健常との曖昧な境界

 ちょっと前,しょうぶ学園に行ってきました。

 しょうぶ学園は,鹿児島県にある障害者支援センターです(「障害」という表記に違和を感じる方もいらっしゃるでしょう。「がい」,「碍」,「礙」など様々な表記の工夫がありますが,今回は敢えて「害」の字で統一しました。)。障害者の方々に対し,相談支援,入所支援,ホームヘルパー,グループホーム等のサービスを提供しています。このように説明すると,どこにでもある障害者福祉施設じゃないか,なんでわざわざ鹿児島まで?,視察に託けて旅行に行っただけではないかと訝られるかもしれません。

 しょうぶ学園は,その辺りにある施設とは違います。訪ねて行くと,田舎町に突如,「SHOBE STYLE」と書かれた門が現れます。門と言っても,遮るものはなく,出入り自由です。まるで美術館の入口です。到着しても,「え?ここなの?」という感覚でした。施設内の道端には,本格的な蕎麦屋,おいしそうなパン屋,おしゃれなイタリアンが並んでいます。そして,開けた中庭を中心に,ジブリを思わせるようなカラフルな建物が周りを取り囲んでいます。

181203①

 しょうぶ学園では,そこに集う障害者が「規格」とは無縁に,各々がやりたいことをやりたいようにやって,時を過ごしています。のこぎりで丸太を傷つけることが好きな人は,一日中ずーっと丸太をギコギコしています。周りを自分の好きな模様で染め上げたい人は,ひたすら壁・床・天井をペンキで塗り尽くしています。刺繍糸の玉々を作りたい人は,ひたすらチクチクチクチク縫い物(?)をしています。園内には,そうした活動の場となる工房がそこかしこにあります。

 しょうぶ学園は,障害者の自由な活動の場を提供しているだけに留まりません。障害者の方々が作り出した作品の「断片」を職員の一手間でつなぎ合わせ,アートとして完成させ,販売しています(のこぎりで傷つけた丸太をお盆に加工したり,刺繍の玉を縫い付けたTシャツを作ったり。)。先ほど紹介した飲食店でも,障害者と職員とが共同して,互いに技術を教え合いながら,クオリティが高い料理を提供しています(手打ち蕎麦,焼きたてパン,ケーキ,生パスタなど,どれをとってもおいしいかったです。)。それぞれがやりたいこととできることとを組み合わせて,一緒に価値を生み出しています。障害という属性に頼ることなく(本当に頼っていないかどうかには留保が必要ですが……),市場価値のある作品を作り上げ,流通させ,販売活動で得た資金を再び障害者支援に回しています。

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 視察した日には,施設長の福森伸(ふくもりしん)さんとお話しする機会をいただきました。なんとたっぷり約1時間半。福森さんは,概ね,次のようなことをおっしゃいました。何のためにそれをやるのかという意味を考えずにはいられない,他人の目を気にして型どおりにやらなければ気が済まない健常者と,目的や意味を考えずに自分の好きなことに好きな道筋で取り組んでいる障害者と,本当はどちらが「健常」なのか,どちらが幸せなのか。

 施設内をユートピアとして唯々愛でるだけでは,障害者感動ポルノの一種でしかありません。健常者中心モデルの社会において,目的も意味もなく,好きなことをして好きなように生きようというスローガンだけでは生活していくことができません。それでも,障害者支援の現場で,ひとりひとりの生きやすさと市場経済社会との折り合いを付けようとしている福森さんやその他職員の方々に対し,日々事件と向き合う臨床家の一人として,私は,共感を覚えました。理想と現実との前向きな妥協の形を見ました。

 SHOBU STYLEを直に体感してみると,思考が動き出します。鹿児島観光のルートの一部に組み込んで,ぜひ食事にでも訪れてみてください(それぐらいの気軽さがちょうどいい施設でもあります。)。

 鹿児島に行かずして,SHOBE STYLEを垣間見たい人には,茂木綾子・ヴェルナー・ペンツェル監督「幸せは日々の中に」(silent voice,2016)というドキュメンタリー映画がオススメです!

 ありきたりな問いですが,幸せって何なのか考えてみては。

社会福祉法人太陽会
障害者支援センターSHOBE STYLE
鹿児島県鹿児島市吉野町5066番地

近いところで,刺繍のイベントもあるようですよ。
nui project
平成30年12月12日(水)~19日(水)
DEE'S HALL(東京都港区南青山3-14-11)

終わりは始まり

11月にもなると、“年賀状”の文字を目にする機会が多くなったり、年の瀬が迫ってきていることをひしひしと感じます。

今年がもう終わってしまう!と焦り、今年も何も成し遂げられなかった…などと、反省し始めたりもします。

以前、「地の果てというのは海の始まりでもあり、そこから航海に出ることができる」という言葉に出あいました。
つまり、終わりは始まりでもあるのです。

振り返らずに前に目を向けて、新年の海図を描きたいと思います。
なんて、今年成し遂げられなかった目標を来年に繰り越す言い訳です。
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多摩パブリック法律事務所

Author:多摩パブリック法律事務所
多摩パブリック法律事務所は、多摩地域の法的ニーズに積極的に応えるため、東京弁護士会の全面的バックアップにより設立された公設事務所です!

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